カイエ・デュ・シネマ
  「山猫」
「地獄に堕ちた勇者ども」
  「ベニスに死す」
  「ルートヴィヒ〜神々の黄昏」
  「時計仕掛けのオレンジ」
  「ダントン」
  「八月の鯨」
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「地獄に堕ちた勇者ども」
監督:ルキノ・ヴィスコンティ伯爵

これもヴィスコンティ伯の作品。
1930年代のドイツで、政権を奪取したばかりのナチス党=ドイツ第三帝国政府に食い物にされ、滅ぼされていく鉄鋼財閥エッセンベック男爵家を描く、デカダンスで耽美な作品である。
主演のヘルムート・バーガーこそヴィスコンティ伯の生涯のパートナーであり、伯爵の作品と切っても切れない名優である。
三十年代といえばドイツのバウハウスをはじめ建築や美術の世界で世界的な新潮流が次々と生まれた時代であるが、当時の都市の雰囲気、製鉄所、エッセンベック家の館など、この監督ならではの徹底的にこだわりまくった美術もまた見物である。
「山猫」よりは半世紀後の時代が舞台であるので、ファッションの変遷もよく判る。
「山猫」ではバート・ランカスターが朝の身支度でシャツにデタッチドのウィングカラーを附ける場面があるが、本作品ではヘルムート・バーガーがデタッチドのレギュラーカラーを引き千切るシーンがある。
まだシャツのカラーはデタッチャブル(取り外し式)な訳だが、既にレギュラーカラーが一般的となっており、フロックコートではなく普通のスーツが男性の日常着となっているのである。

そしてゲイテイストも濃厚。
主演のヘルムート・バーガーが祖父であるエッセンベック男爵の誕生パーティーで女装して踊り狂うシーンはあまりにも有名であるし、ナチスの親衛隊の饗宴シーンなども、乱交パーティーを連想させる。

なお、この作品はヴィスコンティ伯の「ドイツ三部作」と呼ばれる作品のうちの一つである。
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