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| 「時計仕掛けのオレンジ」 |
監督:スタンリー・キューブリック(イギリス)
1999年に亡くなった英国の鬼才、スタンリー・キューブリックの近未来SF。
この監督の作品だと「2001年宇宙の旅」が代表作として語られることが多いが、僕はむしろこちらの方が好きである。
舞台は近未来のロンドン。
但し七十年代の作品なので、確か二十世紀末という設定であったと思う。
保守政権下のイギリスは荒廃し治安の悪化も著しく、政府は強権を発動し事態の収拾を図ろうとする。
その過程で左右両陣営より政争の具とされ翻弄される不良少年アレックス(マルコム・マクダウェル)を主人公に、人権を抑圧し、市民一人一人より国家の秩序を優先する管理社会の恐怖を前衛的に描いた傑作といえよう。
とても三十年近く前に作られたとは思えないアバンギャルドな美術と、クラシック音楽を巧みに使用している点、時代を感じさせない凄みのある作品である。
イギリスはサッチャー女男爵による恐怖政治をようやくに脱し、労働党政権によるリベラルな社会が実現しつつあるが、悪法を制定し侵略戦争とファシズムのシンボルである日の丸・君が代を強制し、官憲による電話盗聴を令状無しに認めるようになったこの国は、キューブリック監督が描こうとした恐怖社会にまっしぐらに突き進んでいるような気がしてならない。
ゲイというマイノリティである我々にとって、座視してはならない問題であろう。 |
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