人間爆弾「桜花」─ 特攻を命じた兵士の遺言 ─
おれは育てて、
鉛筆の先で殺したんだ…
★第67回ロカルノ国際映画祭 新人監督賞 スペシャル・メンション

2014年/フランス/76分/太秦 配給
(c) Comme des Cinema

澤田正道
林冨士夫
1,300円 【公開初日前日まで販売】
一般 1,800円/専門・大学生 1,500円
シニア 1,100円/中学・高校生 1,000円/小人 700円
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22歳、神雷部隊桜花隊の第一志願兵となった。
そして23歳の自分は、同志の名を黒板に刻み、死へと送り出した───

林冨士夫は、人間爆弾と言われた特攻兵器「桜花」の第一志願兵であった。攻撃部隊の正式名称は、神雷部隊桜花隊。当時、海軍大尉であった彼は、上官から出撃隊員を選ぶよう命じられ、隊員の中から選出し、その名を黒板に書き、多くの同志達を死へと送り出す役目を担っていた。苦楽を共にした同志、友人達を送りだし、絶望的な戦局の中で彼は自分の行く時を必死に探し求めたが、その時を待たずして戦争は終わりを迎える。敗戦の混乱、激動の時代の中で、彼はあの時代に向き合い続けること、凝縮された神雷部隊での1年半の記憶を語り継ぐことを自身に課していく。そんな中、天皇に対し「特攻に散った若者たちへ一言でも謝罪、感謝の発言がなかったことは、非常に残念なことと思いました。その一言くらい言われるのが、人間天皇という事になるのではないか」と無念の思いを吐露するのだった───。

日本で初めての特攻志願兵が、亡き特攻隊員に語りかける
遺言ともいうべき鎮魂のドキュメンタリー

近年では第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した深田晃司監督作『淵に立つ』、河瀬直美監督作『あん』『2つ目の窓』、黒沢清監督作『岸辺の旅』、今村昌平監督作『カンゾー先生』などをプロデュースし、多くの日本映画をカンヌ国際映画祭に送り出した澤田正道が初監督。30年以上フランスに住み、日本を俯瞰的に見つめてきた澤田が、日本人としての死生観、そして戦争という記憶を、林冨士夫との対話の中で静かに描き出す。既に肉体的な限界を迎えつつあった林氏から、許された時間は8日間。カメラは林氏のみを捉え、その息遣い、その沈黙から、彼の背負ってきた記憶を映し出していく。奇しくもフランスでの上映初日、林冨士夫はその歴史に幕を閉じるかのように息を引き取った。享年93歳。
本作は、日本で初めての特攻志願兵であり、亡き特攻隊員に語りかける林冨士夫の遺言ともいうべき、鎮魂のドキュメンタリーである。戦後71年を迎え、その沈黙と記憶が私達の心に刻みこまれる。

「桜花」とは
太平洋戦争末期、大日本帝国海軍は絶望的な戦局を打開する最後の切り札として特攻戦術を断行した。「桜花」は、太平洋戦末期の1944年に開発した特攻兵器で、1945年より実戦に投入された。専門に開発、実用化、量産された航空特攻兵器としては世界唯一の存在である。機首に最大で約1.2トンの爆弾を搭載した一人乗りの「桜花」は、自力で飛行するためのエンジンを積まないため、一式陸上攻撃機を母機として、敵艦の近くまで運び、パイロットを乗せたまま敵艦に投下する。世界にも例を見ない有人誘導の“人間爆弾”である。多くの場合、「桜花」を運ぶ母機が目的地に辿りつく前に撃墜され、さしたる戦果を上げることなく終戦を迎えた。


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