2019 年 / 日本 / 62 分 / Filmnemuru 配給
監督・脚本・編集金子由里奈
音楽Tokiyo(And Summer Club)主題歌「なめたらしょっぱいのか」
出演松浦りょう、五頭岳夫、水木薫、佐藤結良、松㟢翔平、髙橋佳子、渡辺紘文
<幽霊って、どこから声を出しているんだろう> バンド練習に向かうバスの中、芹佳那子が遭遇したのは、とあるメロディ。歌を口ずさむ老婆が抱える木箱に興味を惹かれた佳那子は、練習をすっぽかして彼女のストーキングを開始。乗客が少なくなっていくバス。夜に包まれた終着駅。名前のわからない街で佳那子がたどり着いた先は――。これは、“死者”と”声”を巡る、小さくも壮大な旅の記録。 監督は金子由里奈。作品を発表するごとにセンセーションを巻き起こしている日本映画界の新星。2018年、山戸結希監督プロデュース企画『21世紀の女の子』にてわずか一席だけ設けられた公募枠に200人の中から選出、翌年には自主映画『散歩する植物』がPFFアワード2019に入選。破竹の勢いで独創的な作品を世に送り出す金子は、今作『眠る虫』にて見事ムージックラボ2019グランプリに輝いた。単独での劇場デビューとなる本興行では自主配給を務める。 儚くも圧倒的な存在感を放つ主役・佳那子を演じるのは松浦りょう。映画『渇き。』(2014)で女優デビューを果たした松浦が堂々の初主演を飾るのが今作『眠る虫』である。脇を固める俳優陣にも注目だ。数多くの名匠作品に参加してきた五頭岳夫が、佳那子の対話相手である老人・近藤茂雄を快演。『僕はイエス様が嫌い』(2019)でのまっすぐな瞳が記憶に新しい佐藤結良が不思議な少年、けいを演じる。ほか、実力派女優・水木薫、「テラスハウス TOKYO 2019-2020」での佇まいが評判を呼んだ松㟢翔平、モデル・高橋佳子、さらには異能の映画監督・渡辺紘文の登場と、既存の枠に捉われない伸びやかなキャスティングが実現。各分野から参集した演じ手たちが、金子の詩的映画世界を生き生きと伝える。 優しく豊かな絵づくりを支えるのは、シネマトグラファー平見優子。2018年、撮影をつとめた『少女邂逅』が大きな反響を呼び、以降『BEATOPIA』(2018)、『暁闇』(2019)など、自主・商業の垣根を越えて多くの映像作家たちからラブコールを受け続けている。映画全体の夢心地で不穏なムードは、劇伴を担当するソングライター・Tokiyoの手によりさらなる醸成を得た。And Summer Clubのギタリストとしても活躍中の彼女は、これまでmei ehara、菅原慎一BAND(シャムキャッツ)、豊田道倫など、幅広く様々なアーティストと共演している。 音響は5.1chサラウンドを採用。音と絵の立体的な邂逅にこだわり、多幸感に満ちた60分間が完成した。全方位を心地よい音像に包まれたまどろみの中、観客は同時にありありと覚醒している自分を発見することだろう。例えば、バスの車内や寂れたコンビニといった、日本の生活者にとってありふれた日常の光景も、金子の映画の中では新しい容れ物に変わる。そこに息を潜めている物語がみずみずしく発露し、その瞬間の積み重ねを経験していくことが映画の旅へとなっていく。『眠る虫』は観客の思い出されなくなった記憶たちを刺激し、驚くべき喜びをまとって生活に残響し続ける。
※予約受付はありません
- 開催終了しました -
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- 開催終了しました -
2020/10/17(土)~11/4(水) |
- 上映は終了しました -
一般 | 1,500円 |
シニア | 1,100円 |
専門・大学生 | 1,200円 |
中学生・高校生 | 1,000円 |
小学生以下 | 700円 |
会員 | 1,000円 |
★入場システム、サービスデー・その他割引 |