1971年 / 日本 / 99分 / コピアポア・フィルム 配給
監督リチャード・C・サラフィアン
製作ノーマン・スペンサー
出演バリー・ニューマン、クリーヴォン・リトル、ディーン・ジャガー、ヴィクトリア・メドリン、ポール・コスロ、ボブ・ドナー、ティモシー・スコット
現実を切り裂き、時空を駆け抜ける、
アメリカン・ニューシネマの枠を超えた鮮烈の雄篇
陸送屋のコワルスキーは、70年型ダッジ・チャレンジャーをデンバーから1200マイル離れたサンフランシスコまで15時間で届けるという無謀な賭けをした。爆走するその車を追って各州警察が追跡を開始。警察無線を傍受した盲目の黒人DJスーパー・ソウルは、ラジオでその模様を実況中継する。大勢の野次馬やメディアが押し寄せる中、コワルスキーは、ブルドーザーが道路封鎖するバニシング・ポイント<消失点>に向かってアクセルを踏み込んでいく…。
『バニシング・ポイント』は、権力への反抗と現実に敗北する者たちを感傷的に描いた多くのアメリカン・ニューシネマとは一線を画し、作品全体の乾き切った精神性に加え、遡行と跳躍によって非直線的に描かれる【時間】という概念の表現を革新、かつてない高みに達した鮮烈・孤高の雄篇だ。現実に対する底知れぬ虚無と諦念を抱え、速度の限界に挑むコワルスキーの姿は、観る者をスピードの陶酔と快楽の果て、時空も生死も超越した無限の境地へと誘っていく。
正義も愛も理想も失った世界から、無限の自由へと跳躍した男の魂の旅
初公開時、日本では有楽町スバル座で大ヒット、キネマ旬報ベスト・テンでも第5位という高評価。スティーヴン・スピルバーグ監督はフェイバリットであることを公言し、クエンティン・タランティーノ監督も自作『デス・プルーフ』(07)でオマージュを捧げた。ガンズ・アンド・ローゼズは歌詞に本作の台詞を引用、プライマル・スクリームも同名アルバムを発表するなど、多くのミュージシャンたちにも絶大な影響を与えている。
監督は、『荒野に生きる』『ロリ・マドンナ戦争』の鬼才リチャード・C・サラフィアン。正体不明だった脚本のギレルモ・ケインの名は、現在ではキューバ出身の作家、評論家として名高いギリェルモ・カブレラ=インファンテ(2005年死去)のペンネームだったことが知られている。ラテン・アメリカ文学特有の<魔術的リアリズム>による、オープニングとエンディングが「メビウスの輪」のように繋がった円環的な構成、そして魂の不滅を描いたこの作品の主題に改めて目を向ければ、<カー・アクションの頂点><史上最高のロードムービー><カウンターカルチャー映画の重要作>と謳われてきたこの作品が、それだけでは済まされない画期的な作品だったことが納得されるだろう。約50年ぶりとなる再公開は、映画史に超然と屹立する『バニシング・ポイント』に新たな解釈と評価をもたらす千載一遇の機会となるに違いない。
3/4(土) | 18:10 | ||
3/5(日)~10(金) | 17:30 | ||
3/11(土) | 19:15 | ||
3/12(日)~17(金) | 18:40 | ||
3/17で終了予定 |
一般 | 1,800円 |
シニア | 1,200円 |
専門・大学生 | 1,000円 |
中学生・高校生 | 1,000円 |
小学生以下 | 700円 |
会員 | 1,000円 |
★入場システム、サービスデー・その他割引 |