くるりのえいが

2023年 / 日本 / 102分 / KADOKAWA 配給 / 公式サイト

監督佐渡岳利

出演岸田繁、佐藤征史、森信行

音楽くるり

“くるり”が“くるり”になるために━━━
オリジナルメンバーによるアルバム制作現場に密着したくるり初のドキュメンタリー映画

 1996年にバンドを結成して以来、常に新しい音楽を追い求めて、旅をするように活動してきたロック・バンド、くるり。オリジナリティ溢れる作品を発表する一方で、『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)、『まほろ駅前多田便利軒』『奇跡』(共に2011年)など様々な映画の主題歌やサントラを制作。また、地元の京都に活動拠点を置き、「京都音楽博覧会」といった音楽フェスを主催するなど、多彩な活動を通じて日本のロック・シーンで異彩を放ってきた。そんな彼らの初めてのドキュメンタリー映画『くるりのえいが』が完成。新作『感覚は道標』のレコーディングに密着した本作は、くるりという不思議なバンドの素顔を浮かび上がらせて創作の秘密に迫る。

 京都の大学の音楽サークルで出会った、岸田繁(ヴォーカル、ギター) と佐藤征史(ベース、コーラス)、森信行(ドラム)を中心に結成されたくるり。森が2002年に脱退して以降は岸田と佐藤が中心になり、様々なミュージシャンをメンバーに加えて音楽活動を続けてきた。そんななか、新作アルバムの制作のために岸田と佐藤が声をかけたのは森だった。なぜ、2人は結成当時のメンバーでアルバム制作に挑んだのか。新作でどんなサウンドを目指すのか。3人が輪になって語り合うミーティングから映画は始まり、アルバムを作り上げていく様子を映画は追いかけていく。

 「0を1にする基本的なピースがこの3人。それが今回欲しかった」とインタビューで答える岸田は、新作に3人以外の音を入れないことを提案。手探りのなかでセッションがスタートする。そこで岸田が次々と出すアイデアを実行していく佐藤と森。スタジオの片隅で携帯を使って作詞をする岸田。緊張感に貫かれたレコーディング。そして、完成した曲をメンバーとスタッフが初めて聴く瞬間など、まるでバンドと一緒にレコーディングに立ち会っているような臨場感溢れる映像に引き込まれる。

 また、本作は3人の男たちの友情の物語でもある。久しぶりの3人でのレコーディング。森がバンドを離れて20年以上の年月が流れていた。森は不安を感じつつも「いま、自分が持っているものをすべてだそう」と決意。レコーディングが進むにつれてバンドに一体感が生まれていく。その感触を確かめるように、京都の老舗ライヴハウス、拾得で行われるライヴ・シーンは本作の見どころのひとつだ。映画を通じて新曲「In Your Life」が完成するまでの過程を垣間見ることができるが、3人それぞれがレコーディングを通じてくるりというバンドと向き合い、この3人にしか出せないサウンドを生み出していく姿が胸を打つ。

 本作の監督を務めたのは、細野晴臣のドキュメンタリー映画『NO SMOKING』(2019年)、『SAYONARA AMERICA』(2021年)を手掛けた佐渡岳利。ナレーションや関係者への取材は入れず、岸田、佐藤、森に発言や演奏のみに焦点をあてて、バンドの原点ともいえる「3人のくるり」を描き出していく。00年代の日本のロック・シーンを代表するヒット曲「ばらの花」の誕生秘話。デビュー時のアーカイヴ映像、ライヴ映像など、ファンには嬉しい要素を盛り込みつつ、オリジナル・サウンドトラックを岸田が担当している。もちろん、くるりには欠かせない鉄道も登場。3人のひたむきな創作への情熱を通じてくるりというバンドの魅力を、そして、音楽を奏でることの面白さを再発見できる本作は、くるりのファンはもちろん、音楽好きは必見のドキュメンタリーだ。

WEBチケットについて
上映期間
2023/11/18(土)~2023/11/24(金)

- 上映は終了しました -

料金
一律2,000円
※劇場招待券使用不可、各種割引・サービスデー適用外