バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語

“令和の浮世絵版画”に挑戦する職人たちを追うドキュメンタリー

監督:松本貴子
出演:草間彌生 ロッカクアヤコ アントニー・ゴームリー ニック・ウォーカー 李禹煥 ほか
プロデューサー:松本智恵
撮影:門脇妙子
音楽:渡邊崇
編集:前嶌健治
オンライン編集:石原史香
整音・音響効果:高木創
宣伝デザイン:山田裕紀子
宣伝プロデューサー:小口心平
製作:藤本俊介 森田直樹
配給:Stranger
特別協力:アダチ版画研究所
公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団
© ️2025「バレンと小刀」製作委員会
公式サイト

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」や映画「国宝」の大ヒットで、浮世絵や歌舞伎といった江戸の伝統文化に初めて触れ、沼にはまる人々が急増している2025年。ドラマに合わせて東京国立博物館で開催された特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」には20万人を超える来場者が押し寄せ、7月には北海道小樽市に浮世絵美術館が開館するなど、浮世絵への関心は高まっている。

そんな浮世絵人気を支えるのが、1928(昭和3)年創業のアダチ版画研究所だ。江戸時代後期に、世界最高峰といわれるまでに発展した浮世絵の版画技術を守り、継承することまもなく100年。これまで版元として北斎、広重、歌麿、写楽など、江戸時代の名作を復刻し国内外に届けてきたが、近年、新たな現代の浮世絵を創作するプロジェクトに挑戦している。世界を舞台に活躍する草間彌生、ロッカクアヤコ、アントニー・ゴームリーなど様々なアーティスト38名を絵師に迎え、ゼロから浮世絵を作り出すコラボレーションである。およそ5年かけて86作品を制作し、2025年春に東京国立博物館で開催される「浮世絵現代」展での発表を目指す。

彫師と摺師にとって、絵師たちが託した原画とアイデアは何もかもが革新的で、浮世絵表現の常識を覆すものばかりだ。しかし、職人たちは静謐な空気が満ちた工房で、江戸から伝わる超絶技巧を駆使して浮世絵に仕上げる。時には絵師の鋭い指摘に試行錯誤しながら、小刀とバレンでさらなる高みを求めていく。

監督は「≒草間彌生 わたし大好き」(08)、「氷の花火 山口小夜子」(15)、「掘る女 縄文人の落とし物」(22)の松本貴子。ロッカクの指先から生まれる色の重なりや、草間の迷いのない筆使いを超クローズアップで撮影した創作風景はアートファン必見だ。「べらぼう」の時代では男性中心だった世界に若い女性職人が増え、地方在住でも子育て中でも摺師の仕事は両立可能という現実も教えてくれる。

浮世絵とはその時々で人々が注目するものを取り上げるものだった。唯一無二の版元、アダチ版画研究所の企みは斬新でありながら、原点回帰なのである。まさに「令和の浮世絵」の誕生を目撃するドキュメンタリー作品に仕上がっている。


東京・目白にあるアダチ版画研究所は、これまでにない新たなチャレンジに打って出た。江戶時代の北斎、広重といった絵師のように、現代の世界的アーティストに絵師になってもらいたいと依頼した。賛同した32名のアーティストと現代の浮世絵版画を誕生させる一大プロジェクトスタート。
ニューヨークで活躍するストリートアーティストやロンドンの世界的彫刻家、御所の横尾忠則や新進気鋭のロッカクアヤコなど、そのジャンルや年代、国籍は様々。あがってきた作品も十人十色。
作品に対峙する彫師・摺師の職人たちは、世代交代して若手が中心だ。彼らは江戶の浮世絵版画とは全く異なる作風に戶惑いながら、試行錯誤を重ねる。作品をどう解釈し、どのように版画にするのか。迷った時は、海外のアーティストと zoom を繋ぎ納得がいくまで話し合う。来日したアーティストは、畳の部屋で同じ姿勢でもくもくと作業する職人達の忍耐力と類い稀な技術に驚く。3年に渡って格闘した浮世絵版画およそ100点は、2025年東京都国立博物館・表慶館での公開が決まった。
彼らの挑戦を記録し、現代アートと浮世絵技術が化学反応しながら、次世代の浮世絵が世に生み出されるまでを追う。

上映スケジュール
10/18(土) 10:20
10/19(日)〜24(金) 12:25
10/25(土)〜31(金) 時間調整中
10/31で終了予定
料金
一般1,900円
シニア1,300円
専門・大学生1,000円
中学生・高校生1,000円
小学生以下700円
会員1,100円
★入場システム、サービスデー・その他割引